法人向け保険
任意労災保険
全ての労働者には、国の制度である政府労災保険が適用されます
(例え、職場が未加入でも)。
その内容は素晴らしく、治療費、休業補償、障害年金、傷害年金、
介護等給付、更に、万一亡くなった場合は葬祭給付と遺族等給付もあります。
正に、労働者が安心して働ける素晴らしい制度です。
ただ一点、死亡した時に受け取れる一時金が少ないのが難点です。
一時金は300万円雇用主としてもそれでは従業員の福利厚生として
不十分ですし、雇用主が安全配慮を怠っていた結果として
死亡したとなれば、遺族から民事訴訟を受ける事も考えられます。
万一このような事態になれば、
雇用主は高額な賠償金を支払う事になりかねません。
この様な事態のために、
労働省は「民間の保険を利用して、民事賠償に備えるように」と
通達しています。
賠償金は必要なのか
必要です。“絶対会社に落ち度は無い”と思ったとしても必要があるのです。
例えば通勤途上で事故に遭遇して亡くなられた場合、会社には何ら責任は無いように思われがちですが、
自家用自動車・自転車での通勤を認めていたりすれば、
十分な安全配慮義務を怠っていたのではないかと判断される可能性もあります。
また、政府労災保険は素晴らしい内容だと申し上げましたが、休業補償などは全額支給される訳ではありません。
そのため、労働者は雇用主に対して賠償請求を行うことがあります。
まして、死亡事故であれば遺族が雇用主を訴える事は十分考えらます。
賠償金の必要がない場合
単純に表現すれば「政府労災が認められなければ勤務中ではない」との判断ですから、
会社が賠償金を支払う必要はありません。
例えば、会社帰りに居酒屋で会食し、酔いが回っていたのでしょうか、
駅のホームから転落して死亡してしまった場合などは、労災認定は下りませんので、会社も賠償義務はありません。
居酒屋さんに行くために通常の通勤経路から離れた時点で通退勤は中断されたことになります。
勤務中に一度自宅に戻り、マイバイクでお客様宅に向かう途中に四輪車と交通事故を起こし死亡した例でも、
自宅に戻った時点で自動的に勤務が終了したとの解釈から労災対象とはなりませんでした。
労働者としては、気を付けていただきたい事柄です。
事故時の賠償額どれくらいに
賠償金なので金額の決定は個別の判決によりますが、
会社側の不法行為などが明確になれば賠償額も上昇していきます。
3億円を超える判例もあります。
この金額は稀ではありますが、賠償請求の交渉は1億円から始まり、7千万円くらいで示談成立となるケースが多いです。
これだけの現金を自己資金で賄える企業はほとんど無いでしょうし、借り入れできたとしても、
経営に大きな支障をきたすことは明白です。しかも労災事故は1名とは限りません。
保険に加入する前に
保険に申し込むことだけでは不十分であり、その前に大切な手続きがあります。
就業規則の付則として“同意書”を作成し、労使の間で補償制度について十分に説明の上、同意していただくことが必要です。
この同意書の作成には大事なポイントがあります。まず補償金額が著しく低くてはいけません。
入社したい人は、どのような理不尽な金額でも同意書にサインしてしまうでしょう。
この様な内容では、後日法的な効力を発揮できません。
職種にもよりますが、低くても3,000万円は設定してください。
この書類の名前を弊社では“法定外労災災害規程同意書”と呼んで、すべてのクライアント様に設置していただいております。
保険加入で必要な金額は
上記で述べましたように、同意書には必要最低限の金額を記載しなければ法的書面として有効性が発揮できません。
しかし、その金額全額を保険申込する必要もありません。
自社にて工面できれば保険は必要ありませんし、借入できるのであればそのような方法も有効です。
しかし、遺族との交渉という場面に立たされた時に、
相談窓口として保険会社や保険代理店を利用できるメリットは大きいはずです。
保険加入するパターンとして「傷害保険で2,500万円、生命保険で500万円」で契約できると理想的ではないでしょうか。
ご存じのように生命保険は勤務中のみならず、プライベートな時間帯での事故や病気でもお支払いできます。
ただし24時間保障、原因を求めない代わりに保険料は高くなります。
年齢によって保険料も高くなりますので、社員間の公平性が保てません。
一方、傷害保険には便利な制度があり、就業中のみを補償することがスタンダードです。
そして就業中のみのため、保険料が安くなります。生命保険と比較すると4分の1くらいに感じられるはずです。
そしてこれらの保険料は、生保損保共に全額損金参入することが出来ます。
(注) 生命保険料は商品によります。
解約返戻金のない定期保険の取扱い
(国税局公式HP)
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/06/01.htm
法人税基本通達9-3-5を準用
(2020年07月現在)
定期保険及び第三分野保険に係る保険料
(国税局公式HP)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_03.htm
法人税基本通達9-3-5、9-3-6の2を準用
(2020年07月現在)
下請けさんも保険加入できますか
はい、加入できます。建築現場では、工事規模の大小を問わずたくさんの職人さんが出入りしています。
部材を届けに来るだけの方もいるでしょうし、1日だけのアルバイトもいるでしょう。
加入方法にもよりますが、契約者の建築現場に関わるすべての方を自動的に補償対象とすることが可能です。
下請けさんはもちろん、交通誘導の方も含める事ができます。
補償金額は、自社社員と下請けさんや交通誘導の方を変えて設定いただく事もできます。
経営者として
考えていただきたい事
現在、働く人の約3人に1人が病気を抱えながら仕事をしていると言われます。
また、これから就職しようとする学生達も「福利厚生」を重視する傾向にあります。
上記では死亡補償を重点的に記載しましたが、入院治療の補償、通院治療の補償、
そして休業補償の充実が、雇用主としても人手不足・人材確保の対策となると考えます。
自社の仕事に関わる方達が
安心して働けるために、
そして雇用主としても万一の時には
金銭的にも精神的にも安心ができるように、
保険会社では健康相談や労務相談、
法的な相談や交渉代理を
依頼できるサービスも提供しています。
是非保険を活用してください。
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