第2話 個人賠償責任保険(※1)

今月は「個人賠償責任保険」について。

ネーミングには“個人”と書かれていますが、補償の対象は契約者本人だけでなく、家族全員(本人・配偶者・同居の親族(※2)・子ども・別居の未婚の子ども)なので安心です。

また、保険会社によっては「日常生活賠償責任保険」とも呼ばれていますが、補償される内容、補償される家族の範囲は同一です。

このコラムでの呼称は「個人賠償責任保険(以後“個人賠”と略す)」に統一させていただきます。

この“個人賠”ですが、少し前までは火災保険や傷害保険にオマケのような状態で付保されていました。
よって効用を知らずに保険としての出番も少なかったようです。

ところが最近俄然注目を浴びるようになりました。
それはジテンシャ保険と呼ばれて、加入を強制する学校や自治体が増えてきたからです。

筆者としても“個人賠”には、全ての国民に加入していただきたいくらいに必要不可欠な保険だと考えています。

1.身近な賠償事故例

  • 例1)ボート上で、他人のマスクをボンベで踏み割ってしまった。
  • 例2)買い物自転車を倒してしまい、商店のガラスケースを破損。
  • 例3)子供とのキャッチボールで公民館の窓ガラスを割ってしまった。

2.高額な賠償事故例

  • 例1)マンションで洗濯機の水漏れ事故。階下は大手コンビニ。
  • 例2)小学生がジテンシャ事故の加害者となり、9,521万円の支払い(※3)。
  • 例3)スキーで激しく衝突。重度後遺障害を負わせてしまう。

3.専門家による示談交渉

契約者の過失が、僅かでも確認できれば示談交渉を開始できます。
保険会社の担当者がお相手と交渉しますが、難航したり長期化した場合には弁護士に委任される場合もあります。
無理難題を要求されたり、恫喝されるようなケースでは、専門家による対応が必要です。

4.“個人賠”は仕事などには機能しません。

世の中には様々な仕事があり「勉強を教える、病気を治す、建物を建てる」等、危険度合いが異なりますので、同じ保険料では成り立ちません。

特に最近気を付けていただきたいことに「食事の配達(出前など配達)」があります。

ご自身の空いた時間に自分のジテンシャで配達するので、この“個人賠”で賠償できると思われているようですが、これは立派な仕事中。職業用の賠償保険が必要です。

※1 個人賠償責任保険とは? (日本損害保険協会HP参照)
https://www.sonpo.or.jp/wakaru/seminar/kaisetsu/009.html

※2 賠償額9521万円 神戸地方裁判所、2013年7月判決(交通事故弁護士ポータルサイトより)
https://agoora.co.jp/jiko/knowledge/bicycle-social-issues.html

株式会社遠井保険事務所
遠井洋文・責任編集 ▲