第7回 魚の性転換の不思議:雌性先熟と雄性先熟
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魚の世界には、生涯にわたって性別が固定されていない種が数多く存在します。
そして特に興味深いのが「雌性先熟」と「雄性先熟」という現象で、進化生物学や行動生態学の観点から非常に重要な研究対象になっています。
雌性先熟(しせいせんじゅく)
雌性先熟とは、雌として成熟し、その後の成長過程や社会的要因によって雄に性転換する現象です。
ハナダイ科やベラ科の魚に多く見られます。
ハナダイ科やベラ科の魚は、群れの中の一匹の大きな雄と複数の雌がハーレムを形成しています。
雄が死ぬと、群れの中で最も大きい雌が雄に性転換し、新たなハーレムのリーダーになります。
雄性先熟(ゆうせいせんじゅく)
一方、雄性先熟はその逆で、雄として成熟した後、成長や環境の変化によって雌に性転換する現象です。
特にクマノミなどのスズメダイ科の魚に見られます。
クマノミは両性生殖腺を持っていて、生まれたときに性別が決まっておらず、群れの中の最も大きな個体が雌になり、次に大きな個体を雄としてペアを形成します。
そしてその雌が死ぬと、雄が雌に性転換し、群れの中で次に大きな個体が新たな雄になります。
このような性転換は、体が大きい雌の産卵能力が高いためで、群れの繁殖を維持するための効率的な方法と考えられています。
雌性先熟と雄性先熟は、魚類の繁殖戦略の中でも特に興味深い現象です。
これは、環境や社会構造に適応するために、魚類がいかに柔軟に、生存戦略を進化させてきたかを示しています。
今後の研究によって、これらのメカニズムや進化の背景がさらに解明されることに期待しましょう。
最近、サンゴの中にも性転換する種があることが分かってきました。
またウミガメには、卵のまわりの砂の温度によって性別が決まるという面白い特徴があります。
その境界は摂氏29度と考えられていて、それより高ければ雌になり、それより低ければ雄になります。
近年の地球温暖化の影響により ほとんどのウミガメが雌になってしまうかもしれず、今後の生態の変化が危惧されています。
人間では考えられない水中生物たちの不思議を知り、また地球規模で起きている問題に触れる機会を得られるのも、ダイビングの魅力の1つだと思います。
ココナッツ石垣島 梨本貴延様 ▲
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