第13話 海猿と潜る – 初心者ダイバーまっちゃんの体験記
与那国で潜っていたある日のこと。
制服姿の凜々しい男性がダイビングショップを訪ねてきました。
オーナーと何やら打ち合わせをしています。
その男性は海上保安官で、与那国でのダイビングの様子を調査するために、私たちゲストと潜るそう。
そこに居合わせたゲストは大興奮。ダイバー必見の映画「海猿」の大ファンたちです。 その本物の海猿と一緒に潜れるなんて、まるで夢のよう。
「タンクを背負ったまま腕立て伏せするのかな?」
「周囲を見渡して、水面よーしと、指さし確認してからエントリーするのかな?」
「明日はタンクを背負って走ってくるよ」
と話題は尽きません。
翌日、ジャニーズ顔負けのイケメン海猿4名と上官1名が、普通に歩いてやってきました。
私たちだけでなく、ガイドも緊張でドキドキ。
ガイドによるブリーフィングがいつもより丁寧で、私たちも真剣に聞いていました。
タンクを背負う様子を見ていると、私たちのようなBCではなく、空気調節ができないハーネスでした。
どうやって中性浮力をとるんだろう?と、興味津々。
潜ってから驚いたのは、頻繁にバディチェックをしていること。
二人一組になった相手と、互いの状態を常に確認し合っているのです。
ライセンス講習で習ったのに、いつの間にか忘れていました。さすがは海猿、基本に忠実なのですね。
40分あまりのダイビングを無事に終え、ボートに上がってから尋ねてみました。
「どうやって中性浮力をとっているのですか?」
「ここと、ここ」、
とたくましい胸と太ももをたたきました。
つまり呼吸とキック力で調整しているのです。見習わなくては・・・
ダイビングが終わってから、彼らが乗っている巡視船の運転席を見せてもらいました。
シートベルト付きのシートには、揺れを抑えるショックアブソーバーがついていました。
不審船を見つけると、船の横にある電光掲示板に、ボタン一つで日本語・中国語・ハングル語の「船内検査をする。停戦しないと狙撃するぞ」が流れるようになっています。
船の前部に、大きな白いシートに覆われたものがあります。
「あれはなんですか?」
「機関銃です」
とたんに身が引き締まりました。
実はこの船、北朝鮮の不審船を追尾したことがあるとのこと。命がけの仕事です。
私たちの国を守ってくれているのだと思うと、キャアキャアはしゃいでいた自分が恥ずかしい。
日本の領海を守るため、頑張ってください。
最後は、図々しくも記念撮影をお願いし、船が去るのを見送りました。
海猿と潜ったこと、それが私の自慢です。
■ダイバーズ保険facebookでは、まっちゃん撮影の写真も掲載しています。
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