第24話 最終回 再び海へ~小笠原 – 初心者ダイバーまっちゃんの体験記

ダイビングを通じて、たくさんのダイバーの方々と出会うことができました。

最高齢は75歳のおじさま。
お元気な方でしたが、タンクを背負って海に入ったり船に上がったりするのは苦手なようで、空身で海に入り、スタッフにタンクの着脱を手伝ってもらっていました。

その様子を見て決心しました。
一生ダイビングを続けて、80歳を超えても自分でタンクを背負ってエントリーし、タンクを背負ったままラダーを駆け上がる!

そのためには体を鍛えなければ、とスポーツクラブでトレーナーについて筋トレに励んでいたある日、トレーニング中に意識を失ってしまいました。

すぐに意識は戻りましたが、そのまま緊急入院し、検査の結果手術をすることに。手術は無事に終わり、療養中に私が考えていたのは、一日も早くダイビングを再開すること。

行きたい海も会いたい魚もたくさんありましたし、次の海外ダイビングも予約してあったのです。

ところが主治医は、「開頭手術をしたのにダイビングをするなんて聞いたことがない」と許可してくれません。

「先生は潜水医学の専門家じゃないでしょ?」と反論すると紹介状を書いてくれたので、東京の専門医のセカンドオピニオンを受けに行きました。
しかし結果は「ダイビングは禁止です」との診断。

呆然として、何も考えられません。家に戻って号泣しました。

ダイビングが生きがいになっていたのに・・・

落ち込んでいると、あるダイビングショップから「小笠原にイルカと鯨の観察に行きませんか」とのお誘いがありました。

ボートを貸し切って、イルカやザトウクジラを探し回るというものです。
「また海に行けるんだ」と大喜びで参加しました。

大きなクジラがボートのすぐそばでジャンプしたり、潜るときに尾を見せたり、と感動の連続です。

クジラの鳴き声に圧倒され、生まれて間もない子クジラの可愛さに魅了されます。イルカの群れとは少しだけ一緒に泳ぎました。

夏にはボートで寝泊まりしました。

他の人がダイビングをしている間、私はシュノーケル。泳いでいるカメを見て、潜ってそばに行きたくなりました。

スタッフが釣ってさばいてくれた新鮮な魚をご馳走になり、みんなで協力して食事を作る。夜は満天の星空の下で眠る。
ダイビングはできなくても、海にいるだけで満足でした。

二度と潜ることはできなくなってしまったけれど、1000本にわたる自分のダイビングライフを振り返ると、お世話になったたくさんの方々への感謝の気持ちで一杯になります。

それぞれの海で、大きな感動と癒しをもらいました。それはかけがえのない私の財産になっています。

海を愛する人々の健康と活躍を祈りながら、筆を置くことにしましょう。

今までありがとうございました。

■ダイバーズ保険facebookでは、まっちゃん撮影の写真も掲載しています。
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