第9話 工作物責任と不可抗力

アナログ放送が終了して、10年以上たちます(2011年7月24日終了)。
しかし、未だにお役目終わったアナログ用アンテナ(さかなの骨に似ている)が、屋根の上残っているのを見かけます。
しかも、ポッキリ折れて今にも風で飛んでいきそうに……

「個人賠償責任保険」の事故お問い合わせで、ご自身で所有される建物にまつわる賠償事故を担当することがあります。

  • 例1)屋根のアンテナが台風で飛ばされ、隣の高級車にキズを。
  • 例2)ガラス製温室の窓が強風で割れて飛び、隣家の窓を直撃。

どちらの例も建物所有者の“工作物責任”として、賠償義務が発生します。 大事に発展することもありますので、手入れ撤去をお勧めしますが、屋根の上での作業は大変危険ですので、専門家にお願いしましょう。

さて次に、少し複雑な例をお話しします。

  • 例3)樹齢60年を超えるわが家の松が台風で倒壊し隣家の塀を破壊。

先ず、隣同士なので精神誠意の謝罪と賠償を果たしたいところですが、法律的には賠償義務が無いかもしれません。

この時の台風では、他の家や公園でも何件も木が倒れ道を塞いだりしていました。
通常の想定を超える大規模な台風被害では“不可抗力”となり、賠償義務は課されなくなります。

現実的には、ご近所付き合いが大切であり弁償したくなりますが。

この他に、ご自宅を業務で使用されていたり、賃貸の場合には、また少し複雑になってきますので、個別にお問い合わせください。

■不可抗力
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8D%E5%8F%AF%E6%8A%97%E5%8A%9B

■工作物責任
https://www.hosyo.or.jp/realpartner/201812shijyo.pdf

■UHFアンテナとVHFアンテナ
https://mizuho-a.com/column/column1033657

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