第3話 対人賠償と人身傷害と搭乗者傷害
自動車保険における「対人賠償と人身傷害と搭乗者傷害」の違いをご説明します。
1.対人賠償(対人賠償責任保険)
文字通り、人を対象に賠償する保険で自動車で“他人に”ケガ等させた場合に賠償責任が発生し、保険が適用されます。
そしてこの賠償責任は、車外の人に働くだけではなく、車内の人にも適用できるのです。よって、ショップツアーでインストラクター運転により単独事故を起こせば、“搭乗していたお客様”も対人賠償にて補償させていただくことが可能です。
しかし、同乗していた別のスタッフには賠償責任が成立せず(※同僚災害、最後尾参照のこと)、対人賠償では補償することができません。これは家族間でも同じことになります。
この様な場合、自動車保険からは「人身傷害保険」にて補償することができます。(次に続きます)
2.人身傷害(人身傷害保険)
人身傷害でしたら、賠償義務などを問わず補償することが可能ですので、ショップの同僚スタッフに対しても大事なご家族に対しても適用することができます。
もう一つ、人身傷害には大きな効用があります。無保険の自動車に一方的にぶつけられ、その上賠償能力が無いような場合、どうしますか。
入院中の家族には、病院からの治療費請求は、待ったなしで行われます。この様な時にも過失割合に関係なく人身傷害にてすべての治療費が賄われます。自賠責制度も利用できますが、限度額が小さく、また事務手続きをご自身で行うことは、難しいと思います。
人身傷害保険が登場して25年が経過し、最近は定着した感がありますが、まだまだ保険金額の設定が低いものが見受けられます。 保険金額3000万円では、まったく意味がありません。大切な従業員やご家族の為にも、人身傷害こそ“無制限”をお選びいただきたいと思います。
搭乗者傷害(搭乗者傷害保険)
搭乗者傷害保険も人身傷害保険と同じように“傷害保険”という名前が付いていますので、この二つの違いをご説明していきます。
先ず「搭乗者傷害」は、上記で述べてきたような“賠償義務”や“過失割合”等、一切関係なく契約車両に搭乗中の事故であればお支払いされます。更に、別に加害者が存在し、加害者から賠償金や慰謝料を受領していても、全く別に保険金が受け取れます。これは「ダイバーズ」と同じです。
しかし一般的に申し込まれる死亡・後遺障害保険金額は1000万円が標準です。
入院・通院日額は別に支払われますが、治療費は一切支払われません。
人身傷害にご加入でしたら、治療費の心配は無く(無制限でしたら)、死亡・後遺障害時にも、1000万円の限度などありませんので、(無制限でしたら)適切に計算された額が支払われます。
※同僚災害では対人賠償が使えない?(橋本行政書士事務所HP参照) https://secure01.red.shared-server.net/www.toshi-office.com/jiko-14-32douryousaigai.htm
株式会社遠井保険事務所
遠井洋文・責任編集 ▲