第12話 ドリフトダイビング – 初心者ダイバーまっちゃんの体験記

「いいですか?メインガイドの真後ろを、水深も方向も変えずにぴったりついて行くのですよ」

初めての与那国。ドリフトダイビングに不安いっぱいの私に、アシスタントガイドがアドバイスをくれました。

与那国の海は潮流が複雑で、ルートを外れると、とんでもなく流されるそう。

「エントリーの準備はいいですか?」
ガイドの合図に、カラ元気で「はーい」と応え、足から入水してヘッドファースト(頭を下にして潜る)で水深10mに集合。

その後は、先頭を行くメインガイドの後ろにピタッとついていきました。

潮の流れは本当に速くて、岩につかまってイソマグロの群れを見るときは、しっかりと岩をつかんでいないと流されそうになります。

手元に、潮に逆らって泳いでいるキンギョハナダイを見つけると、「頑張れー」と応援していました。

船に上がるときは、ラダー(はしご)の隙間にフィンを履いた足を差し込んで上っていくのですが、上手くいかずにもたもた。

早く上がらないと、後に続く人たちの迷惑になると焦った私は、膝を隙間に入れて「よいしょ、よいしょ」と膝で上がっていきました。

ガイドは笑って「それでいいよ」と言ってくれました。

「今、カメがいましたね」と言われても、泳いでいるときはガイドの白いフィンを見つめるのに精一杯で、周りを見る余裕はありません。

目当てのハンマーヘッドシャークもなかなか現れず、他の魚もいなくて、漂うプランクトンを眺めているだけという日もありました。

そのプランクトン。
プロカメラマンの写真を見ると、ネオンサインのようにキラキラ光っていたり、宇宙人のように見えたり、ユニークな形で綺麗なんですよ。

何本か潜っているうち、出ました!ハンマー。

レギュレーターを口にしたまま、「うわおぅ!!」と叫んでいました。

潮流に乗って数百匹のハンマーが群れているハンマーリバーは圧巻で感動します。

さて、与那国と言えば、ハンマーとともに有名なのが海底遺跡。
まっすぐ通っている水路のような凹み。そびえ立つ大きな城門。
祭祀に使うカメのような形をした岩。観客を集めるメインテラス。

斉明天皇の両槻宮ではないかといわれる酒船石遺跡を連想して、かつて栄えた古代文明が、島の沈下とともに滅んだかのように思えてきます。

大学で鉱山学を学んだ夫は、「高校の地学で、柱状節理って習っただろう?自然現象だよ」と言いますが、遺跡と思っていた方が、ロマンがありますよね。

■ダイバーズ保険facebookでは、まっちゃん撮影の写真も掲載しています。
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